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マジンガーZ

僕が初めてマジンガーZをテレビで観た翌日、クラスで一番頭の良い男にロボットを作るにはどうすればよいかと尋ねたら、それは米国のハーバード大学に入ればよいと言うものだから、半紙を4枚繋ぎ合わせて“目指せ!ハーバード大学”と筆で書いて部屋に貼ったら、親に大層喜ばれた。
僕のロボットアニメは、マジンガーZとゲッターロボで略完結している。
ガンダムはあまりよく知らないし、マクロスだとかエヴァンゲリオンだとかは、もう全くわからない。
マジンガーZが欲しかった。本体が無理ならホバーパイルダーだけでも欲しかった。
三輪自動車にプロペラがついたような真紅のそれに乗って、大空から富士山麓を眼下に見下ろすことを夢に描いた。おもちゃ売り場に行けば、売り出された超合金やプラモデルのマジンガーZ関連商品を親に強請った。
マジンガーZの、まるでプロレスラーのような黒いパンツも、拘置所の窓のような口元も、また、腹部から発射される有り得ないほどの大きなミサイルも、それらはすべて何の疑いようもなく“空にそびえる鉄の城”の一部だったし、夏休みの宿題を大量に出した我が校を光子力ビームで破壊したいとさえ思った。
退屈な授業中に見下ろすプールが中央から真っ二つに裂けて開き、底からマジンガーZが空へ向かって高々とエレベートする様を想像している僕の顔はきっと、誰もが垂涎の的を目の前にした時だけにする、あのうっとりと心を奪われている表情だったに違いない。
ハーバード大学へ入ることがプラモデルを作るよりもずっとずっと難しいことを知ったとき、僕の夢は、萎えた。簡単に。馬鹿らしいほど容易に。
しかしそれでも、部屋に掲げた4枚の半紙は、剥がせずにいた。

by 伊布繕晃

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